悪玉コレステロールが高いと・・・?
健康診断などで悪玉コレステロール(LDLコレステロール)が高いことを指摘されてお悩みの方は多いですが、インターネットなどで調べてもどうして良いのかはっきりしないことが少なくありません。悪玉コレステロールが高いことで動脈硬化が引き起こされ、脳卒中や心筋梗塞のリスクが高まることが健康上の問題となります。
悪玉コレステロールの目標値は?
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では、どれくらいの数値で治療が必要になるのでしょうか。健康診断の結果には正常値○mg/dL以下と書いてありますが、実は悪玉コレステロールの目標値は絶対的なものではなく、以下に挙げる動脈硬化を引き起こす他の要因(リスク因子)との兼ね合いで決まります。
動脈硬化を引き起こす他の要因(リスク因子)
- 年齢(男性45歳以上・女性55歳以上)
- 高血圧(140/90mmHg以上)
- 糖尿病
- 喫煙習慣
- HDLコレステロール(善玉コレステロール)が40mg/dL未満
- 血縁に心筋梗塞や狭心症を発症した方がいること
リスク因子が少ない人ほど悪玉コレステロールの基準が緩くなり、逆に多い人は厳しくなります。個々人によって基準が違うということが大切になります。
- リスク因子の数が0の方→目標値は160mg/dl
- リスク因子の数が1or2の方→目標値は140mg/dl
- リスク因子の数が3以上の方→目標値は120mg/dl
- 心筋梗塞or狭心症に罹ったことのある人→目標値は70~100mg/dl
これらのリスク因子の数に応じて目標値が定められるため、この目標値を超えた場合はぜひ医療機関を受診するようにしましょう。
悪玉コレステロールはどうして高くなるの?
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「悪玉コレステロールが高い」と言われると、多くの方は「食事中のコレステロールを制限しなくてはいけないのではないか」と考えます。しかし、日本動脈硬化学会は2015年に「健常者において食事中コレステロールの摂取量と血中コレステロールの間の相関を示す科学的根拠は十分でない。」という声明を出しました。すなわち、「コレステロール制限」はあなたの悪玉コレステロールの値の改善に結びつきません。意味のないコレステロール制限のために、好物を我慢するのは色々な意味で残念です。
悪玉コレステロールの値を決める大きな要因は、3つ挙げられます。それは、「遺伝体質」「体重」「年齢」です。
遺伝体質と年齢は残念ながら、あなたの力ではどうにもならず、その意味においても悪玉コレステロールが高いのはあなたのせいとは言えません。
悪玉コレステロールを下げるには?
悪玉コレステロールを下げる手段は大きく2つです。まずは食生活や運動習慣を見直すことによって体重を下げること、そして薬で数値を下げることです。
減量は悪玉コレステロールを下げる根本的な治療法になります。薬もいらないし、他の生活習慣病も予防できるし、美容にもいいしでいいことずくめです。しかしながら、2つの大きな欠点があります。時間がかかることと、リバウンドがあり成功率が低いことです。そもそも、1kgで下がる数値は1~1.5mg/dLなので、すごく頑張って10kg減量しても10~15mg/dL程度しか下がらない計算になります。一方で、悪玉コレステロールに対する薬は効果が非常に高く、1錠の薬により多くの方のお悩みが解決されます。さらに重大な副作用が出る可能性はとても小さく、一度始めたらやめられないということもありません。
毎年健康診断の数値におびえて、節制や運動をしたものの効果が出ず悩んでいる方は、とりあえずでもいいので、まずは薬を始めてみてはいかがでしょうか?